作品紹介
1959年、大阪。在日朝鮮人への差別と暴力が日常の風景としてあった街で、「復興を遂げ、誰もが平等に暮らせる」と宣伝される北朝鮮への「帰国運動」が熱を帯びていた。学問を志す高校生・孔仁学は、ヤクザの抗争に巻きこまれ窮地に立つ親友・玄勇太に、北朝鮮への「帰国」を勧める。
家族とともに海を渡ることを決めた勇太だったが、帰国船に乗り込んだ瞬間から、粗末な食事や寝床に、言いようのない違和感を覚え始める――。
本作は、在日朝鮮人の北朝鮮帰還事業という戦後史の大きな出来事を軸に、二人の若者それぞれの人生を通して、差別の源流と、国家・政治・報道が担った責任を描き出す長編小説。膨大な取材に基づき、実在の人物や書籍も織り込みながら紡がれる物語は、2025年10月の刊行以来大きな話題を呼び、2026年8月には第21回中央公論文芸賞を受賞した。読み終えたとき、「地上の楽園」という言葉の意味は、読者の中でまったく違う響きを帯びているはずだ。
読者レビュー
これまで報道記事や脱北者のインタビューにも触れてきましたが、この物語はまるでその場に居合わせたかのような臨場感で迫ってきます。読み進めるのがつらくなる場面もありますが、それでも引き込まれてしまう筆力に圧倒されました。何かを知る、学ぶ、考える――そのひとつひとつの積み重ねが未来につながるのだと、読後に強く思わされる一冊です。
出典:ブクログ掲載レビュー(要約)
ニュースなどでこの歴史を知っているつもりでいましたが、実際には何もわかっていなかったのだと思い知らされました。政治もマスコミも、そして私たち自身も、薄々気づいていながら見て見ぬふりをしてきたのではないか――そう突きつけられる読書体験でした。歴史を理解することからしか、未来は始まらないのだと感じています。
出典:ブクログ掲載レビュー(要約)
読み終えて、大きなため息がこぼれました。読む前の自分にはもう戻れない、そんな一冊です。恥ずかしながら、自分がこの歴史をきちんと学んでこなかったのだと痛感させられました。読んで良かったと、心からそう思えます。
出典:ブクログ掲載レビュー(要約)
膨大な取材に基づき、複雑な歴史的事件を見事にまとめ上げた手腕には拍手を送りたくなりますが、正直なところ、人物やその描写がやや類型的に感じられる部分もありました。それでもこの重いテーマを小説として成立させたことじたい、大きな仕事だと思います。
出典:ブックライブ掲載レビュー(要約)
月村作品らしく、文章自体はすらすら読めて苦にならないのですが、あまりにも生々しく胸に迫ってくる内容で、半分を少し過ぎたあたりで読むのをいったん中断してしまいました。それだけ現実に近く感じられたということだと思います。
出典:ブクログ掲載レビュー(要約)
【低評価レビューについて】
本ページ作成にあたり、ブクログ・ブックライブ・honto・楽天ブックス等の公開レビューを確認しましたが、本作については★1〜2の低評価レビュー本文を見つけることができませんでした(ブクログでの評価分布は★5:146件/★4:66件/★3:17件/★2:1件/★1:1件で、低評価は極めて少数です)。架空のレビューを作成することは避け、この点を正直にお伝えします。
著者プロフィール
月村 了衛
つきむら りょうえ
1963年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。アニメ脚本家などを経て、2010年『機龍警察』で小説家デビュー。以降、警察小説からハードボイルド、時代小説まで幅広いジャンルで、社会的なテーマに正面から切り込む作風を貫いている。『地上の楽園』は、雑誌「中央公論」に連載されたのち加筆修正を経て2025年10月に刊行され、2026年8月に第21回中央公論文芸賞を受賞した。
- 2010年 『機龍警察』で小説家デビュー
- 2012年 第33回日本SF大賞(『機龍警察 自爆条項』)
- 2013年 第34回吉川英治文学新人賞(『機龍警察 暗黒市場』)
- 2015年 第17回大藪春彦賞(『コルトM1851残月』)/第68回日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門(『土漠の花』)
- 2019年 第10回山田風太郎賞(『欺す衆生』)
- 2026年 第21回中央公論文芸賞(『地上の楽園』)
書誌情報
| 著者 | 月村 了衛 |
| 出版社 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2025年10月21日 |
| 判型 | 四六判 単行本 480ページ |
| 定価 | 2,530円(税込) |
| ISBN | 978-4-12-005959-9 |
| 初出 | 「中央公論」2024年4月号〜2025年4月号連載を加筆修正 |
| 受賞 | 第21回 中央公論文芸賞(2026年) |
| 電子書籍 | Kindle版/BOOK☆WALKER/honto/ブックライブ 他 配信中 |
こんな人におすすめ
📖
戦後史のタブーに向き合ってみたい人
在日朝鮮人の北朝鮮帰還事業という、これまであまり語られてこなかった歴史を、小説というかたちで体感したい方に。
⚖️
差別や国家の欺瞞について考えたい人
誰が、何を信じ、なぜそれを止められなかったのか。個人と社会の両方の視点から、じっくり考えさせられる一冊です。
🔥
骨太な人間ドラマを読みたい人
重いテーマながら、二人の青年の友情と後悔を軸にしたエンターテインメントとしても読みごたえのある作品です。
【参照元・出典について】
本ページの情報は以下の公開情報をもとに作成しています。
書誌情報・あらすじ:中央公論新社 公式サイト/版元ドットコム/紀伊國屋書店ウェブストア/楽天ブックス/HMV&BOOKS online/Amazon.co.jp
受賞情報:新文化オンライン/Yahoo!ニュース(婦人公論.jp)/Wikipedia「月村了衛」
著者プロフィール:Amazon.co.jp 著者紹介/版元ドットコム/Wikipedia「月村了衛」
読者レビュー:ブクログ掲載レビュー/ブックライブ掲載レビュー
※レビューはすべて公開されている実在の感想を要約・構成したものです。架空の内容は含みません。低評価(★1〜2)レビューの本文は確認できなかったため、掲載しておりません。物語の核心的な展開・結末には触れていません。
2026年8月31日 作成